“音楽活動の資本は、あくまでもアーティスト。”『感覚ピエロ』秋月琢登【前編】

2016/05/26

 
 
音楽活動の資本は、あくまでもアーティスト。

 

『感覚ピエロ』というバンドを、ご存知ですか?

 
「知ってる!」「最近、聞いたことある!」そんな人が今、すごく多いのではないでしょうか。そうですそうです、毎週日曜日に放送中の人気ドラマ、『ゆとりですかなにか』(日本テレビ)の主題歌を歌っている、あのバンドです。
 
<ゆとりですがなにか>
 
現在、話題急上昇中の感覚ピエロですが、あまり世の中から気付かれていない事実があります。
 
彼らはなんと、2013年にバンドを結成して以来、音楽レーベルやマネジメント会社に所属せず、すべて自分たちの手で、セルフプロデュースで活動しているのです。
 
なんの後ろ盾もない、裸一貫のインディーズ・バンドが、宮藤官九郎さん脚本の注目ドラマに主題歌として起用され、地上波に乗ってお茶の間まで届いている。実はこれ、大変なことが起きています。
 
『ゆとりですかなにか』の主題歌を歌うことになった経緯とは?セルフプロデュースで活動し続ける想いとは?
 
『感覚ピエロ』のギタリストであり、自主レーベル『JIJI RECORDS』代表も務める、秋月琢登さんにお話を伺ってみました。全2回です。お楽しみください!
 
 
少し早い、エイプリルフールなんじゃないか。

 
ーーあの… 最初に伺っても、良いでしょうか?おそらく、今多くの人たちが気になっているであろうことを。
 
秋月:どうぞ、どうぞ。
 
<秋月琢登さん(感覚ピエロ)>
 
ーー『ゆとりですがなにか』のタイアップは、一体どんな経緯で実現したのでしょうか?
 
秋月:(笑)
 
ーーいや、みなさん、「感覚ピエロが地上波の主題歌」って事実を、あまりにも簡単に済ませすぎじゃないかと(笑)。これ本当に、ものすごいことで。
 
秋月:ありがとうございます。まず、そうですね… あの、『ゆとりですがなにか』の主題歌になっている『拝啓、いつかの君へ』って曲は、元々このドラマのために書き下ろした曲ではないんです。
 
<拝啓、いつかの君へ>
 
今年のはじめに、日本テレビの音楽出版の方から、「秋月さん、ぜひお話頂きたい方がいるのですが」と、連絡を頂きまして。そこでご紹介頂いたのが、今回のドラマで演出監督を務めている水田伸生監督だったんです。
 
その後すぐに、水田監督から「感覚ピエロさんですか?『拝啓、いつかの君へ』という楽曲をYouTubeで拝見したのですが、僕が次に作る日本テレビの『ゆとりですがなにか』という作品に、ぜひ楽曲を使わせて頂きたくて…」という内容の電話をもらって。
 
ーーもうそこで、いきなり。
 
秋月:あんまりにも突然すぎる内容なので、これは怪しい電話じゃないんだろうか?と半ば疑いつつ(笑)。それで話を進めていく内に、どうやらこれは本当らしいぞ、ということが分かって。
 
ーーすごいなぁ。
 
秋月:びっくりでした(笑)。すごく恥ずかしい話ですけど、最初に「『ゆとりですがなにか』という番組なんです」と水田監督に言われたとき、そのタイトルだけを聞いて「どんなバラエティ番組なんだろう?」と思ってましたし。
 
ーー(笑)
 
秋月:でもそこで、「脚本は宮藤官九郎、主演が岡田将生、松坂桃李、柳楽優弥…」と、キャストの皆さんの名前をばーっと聞いて。そこらへんから、ちょっと頭が混乱して(笑)。
 
ひとまず「分かりました、ありがとうございます」と言って、その電話は終えて。一息ついて、『ゆとりですかなにか』と、ググってみると…
 
ーーまさかの…
 
秋月:「えっ!!ドラマですかコレは!?」と(笑)。もうほんと、少し早いエイプリフールなんじゃないかって感じでしたね。
 
 
書き下ろしと言っても、おかしくないぐらい。

 
ーー今のご時世、監督から直々にバンドに声がかかって、地上波ドラマのタイアップソングに決まるなんて…
 
秋月:滅多にないですよね。特に、僕たちのようないちインディーズ・バンドにオファーをもらえるなんて。水田監督にはもう、すごく感謝してます。まず、YouTube で『拝啓、いつかの君へ』のPVを観てもらっているっていうのが、驚きだったし。
 
ただ、この曲(拝啓、いつかの君へ)に関しては、実は出来上がったときから、僕らの中でも引っかかるものがあったんです。なにかにハマるんじゃないかって予感がすごくして。
 
だから著作権に関しても、あえてJASRAC登録せずフリーにして、誰でも楽曲を使える状態にしていたんです。それも結果として、それも良かったんですよね。タイアップのお話をもらったときに、著作権使用料の部分に関しては「ぜんぶフリーです」と即答できたので。
 
ーー元々、「なにかの予感がする」曲だったんですね。
 
秋月:そうだったんです。それにこの曲は唯一、僕が作詞作曲をやった曲で。今までずっとボーカルの横山がやってきていたのを、この曲だけ僕がやって、曲のニュアンスや歌詞を今までのものからガラッと変えて。「なにか新しいキッカケになれば」という位置付けで、書いた曲だったんですね。
 
言い換えるなら、今まで僕たちを聴いてきたお客さんには「感覚ピエロ、いきなりメジャーな方向に行ったな」と、思われる可能性もあり得た曲というか。
 
ーーなるほど…
 
秋月:正直そのバランスは、去年のリリースタイミングに(2015年10月リリースのアルバム『あなたの正義、創ります。』に収録)すごく迷いました。でも何度も考えた結果、この『拝啓、いつかの君へ』は、僕ら『感覚ピエロ』として、今後向かっていかなくちゃいけない方向を意味する曲なんだと思えて。
 
だから今、そういう経緯があって世に出て行った曲が、結果たくさんの人たちに聴いてもらえる曲になっているっていうのは、すごく面白くて。
 
<あなたの正義、創ります。>
 
ーーある意味、バンドからもそうなる意図を、あらかじめ持たせた曲というか。
 
秋月:実際に後日、あらためて水田監督とお会いする時間があって、直接気になっていた部分を伺ったんです。そのときに、オファーをくれた理由として「あの楽曲の歌詞や世界観が、この作品にぴったりだった」と言ってもらえて。
 
それで、水田監督がドラマの脚本を、3話ぐらいまで読ませてくれたんです。その場で読み進めていったら、全然誇張じゃなく、歌詞の内容とドラマの世界観がリンクする場面が何度もあって。だから水田監督が「ドラマの世界観にぴったりだった」っていうのは、本当にそう思って言ってくれているんだと、すごく嬉しかったですね。
 
あとは、僕ら自身も『ゆとり世代』なんですよ。僕も含めてメンバー全員、まさに『ゆとり世代』ど真ん中の年齢(笑)。そういう色んな背景が絡み合って、この『拝啓、いつかの君へ』という曲は、このドラマのために書き下ろした曲と言ってもおかしくないぐらい、すごくその世界観にハマったんだと思います。
 
 
『O・P・P・A・I』って曲が、ありまして。

 
ーーあの… 失礼でしたら、すみません。
 
秋月:はい。
 
ーー実はこのインタビューを行う前までは、あんまりにも色々と綺麗に決まりすぎていたので、「これは元々、仕込んであった話なのかな?」って、思ってました。
 
秋月:(笑)
 
ーーほんとうに、すみません。
 
秋月:いや、でも、そう思われても不思議じゃないくらい、全てがすごく良いタイミングで合ったんですよ。タイアップの予感を信じて、楽曲に関する権利を自分たちで持っていたのもそうだし、6月1日に『不可能可能化』って名前のセカンドミニアルバムを出しますけれど、これもこのタイアップありきで決定した話ではなくて、元々去年から、自分たちで決めていたものですし(笑)。
 
<不可能可能化>
 
ーー秋月さんたちのところへ直接オファーが行くことも驚きなんですけど、それが「タイアップ決まった!」で喜んで終わりではなく、次の展開に発展させていく動きがすごいですよね。咄嗟の出来事にも、よくリアクションされているというか。
 
秋月:それは意識してますね。たとえば脚本の1話目を読んだときに、『おっぱい』っていうワードの連呼があって…
 
ーー(笑)
 
秋月:水田監督に「あのー… これ『おっぱい』って単語、めちゃくちゃ出てますよね」と話してみて(笑)。「実は僕たちにも『O・P・P・A・I』って曲がありまして…」って、言ってみたんですね。そしたら監督がニヤッとして、「実は、あれも観ました」と。
 
<O・P・P・A・I>
 
ーー『O・P・P・A・I』のPVも、観てくださっていたんですか!
 
秋月:そうだったんですよ。だから僕も、「もしかしたら、この楽曲(O・P・P・A・I)も入れてみるもの、面白いかもしれませんよね」と提案してみたら、監督が「入れる入れないはどうなるか分からないけれど、もしハマれば、面白いことをしようよ」と答えてくれて。
 
ーーその結果があの、『おっぱい祭り』に。
 
秋月:嬉しいことに、見事ハマって(笑)。水田監督、僕たちみたいなインディーズ・バンド、ましてやレーベルやマネジメント事務所もつかずに、ぜんぶ自分たちでやっているような人と仕事をするのは初めてらしいんです。
 
だからそれも含めて「せっかくだから、面白いことをやろうよ」と、言ってくれて。「このバンドなんなんだよ!?って言われるぐらいに、したいよね」って。
 
ーー監督とアーティストの間で、面白いことを一緒に考えていく、信頼関係があるんですね。
 
秋月:水田監督あっての話ではありますけどね。ただ、これはバンドの活動ぜんぶに言えることだと思っていて。やっぱり、他人任せ、他力本願にはなりたくないんです。
 
『感覚ピエロ』は自分たちのバンドであって、自分たちがプレイヤーですから。自分たちの『売り出し方』や、どこで誰とどんな掛け算をしたらファンが喜んでくれるのかということに対して、自分たちで考えてプロデュースしていく姿勢を、大事にしたいんですね。
 
 
 
感覚ピエロ
 
2013年大阪にて結成。バンド結成直後、自主レーベル「JIJI RECORDS」を設立。バンド始動から約2年半、確信的に中毒性の高い楽曲と圧巻のライブパフォーマンス、驚異的な活動スピードを持ちながらも、これまですべての活動をメンバーのセルフプロデュースで活動し続けている。2016年6月1日、待望のセカンドミニアルバム「不可能可能化」をリリース。

 

 
 

ええやん!して記事を見逃さずにチェックしよう!

 

あなたも自分の楽曲を世界中に届けてみませんか?

iTunes, Amazon Music, Google Play Musicなど世界185ヵ国以上で
あなたの楽曲も簡単に販売・配信可能