新しいかたちの音楽活動を模索する『月のうなぎ』(前編)

2015/10/13

 
秋という季節は月がいつもより大きく光って見えます。涼しくなって、葉の色が変わり、自然に目を向ける機会が増えるせいでしょうか。月の中にはお餅を突くうさぎが…あれ?なんだかいつものお月様とは違うようです。なんだか細長い魚のような影が…あれは、うなぎだ…!!!
 
というくだらない冗談は置いておいて、
今回インタビューさせていただいたアーティストは、今年3月に結成されたばかりの「月のうなぎ」さんです!
作曲担当の田中さんには、「死ぬほどポップ」というアルバムについて、自分の音楽観について、そして配信販売での音楽活動についてポジティブに語っていただきました。音楽活動といえばライブやCD販売のことばかり考えがちですが、配信販売の可能性について、改めて考えることは、音楽活動をする人にとって1つの兆しになるのではないでしょうか。
 

 

土用の丑の日にできたから、「月のうなぎ」

 
――本日はよろしくお願いいたします!まず最初に月のうなぎというバンドについて簡単に紹介をお願いします。
 
よろしくお願いします。
月のうなぎは、元々特に意味があって組んだバンドではないんです。結成は今年の3月くらい、大人になっていくにつれて感情が薄くなってきている中「最近詞が浮かばないから曲が作れない」ってTwitterで呟いたんですよ。そうしたら、昔からTwitter友達だった子が「じゃあ、私歌詞書きます!」と言ってくれたんです。
 
(まずは聴いてみてください!)
 
そしてすぐにその子が高校時代書いていたという歌詞を送ってきてくれて、その歌詞に半ば冗談で音をつけてみたら良い感じになったので、「出すか!!」って。それだけなんですよ(笑)。
 
――本当に偶然の成り行きですね。
 
そうですね、おもしろいからやっちゃったという感じです。
 
――次に、とても気になっていたのですが、「月のうなぎ」というバンド名の由来は何なのですか?
 
とくに拘りはなくというか、できるだけナンセンスなものをと考えていたところ、アルバムが完成したのが土用の丑の日だったから(笑)。
 
 
――「土用の丑の日」で月のうなぎ…!意味ありげに思わせて、ストレートな発想ですね(笑)。田中さんはもともと他にもバンド活動していらしたんですよね。
 
そうですね。元々ロックバンドをやっていました。月のうなぎは、ロックでできなかったネタをやろうというコンセプトでやっています。
 
 

きっかけはスピッツのアルバムから始まった

 
 
――歌詞を書いていらっしゃるケイコさんは東京在住で、田中さんは沖縄在住ということで、曲作りの際、その距離に困ったことなどありますか?
 
最初は冗談のつもりだったので、Twitterでいっぱいやり取りしてたんですけど、だんだん本格的に曲作りが進むにつれて作業が細かくなっていったので、最近はSkypeとかメールを駆使してやってます。
やっぱりいちいち録音して、それをメールで送るっていう手間があるので、歌い方とかをディレクションしたいのにすぐにできないって点は少し困りました。
 
――楽器はいつから始めたんですか?
 
小っちゃい頃はヘタクソながら(笑)バイオリンをやっていたんですが、中学2年生の時に友達にスピッツのアルバムを借りて、ロックだ!ロックをやりたい!と。そこからギターを始めました。
でも、高校は沖縄県外の学校に行くことになってしまって。その学校が全寮制で一切楽器が弾けない環境だったんです。
 
――では、高校3年間は楽器に触れない生活だったんですね。
 
そうなんですよ…。その代わりに音楽を聴きまくっていました。ギターは、大学1年から仕切り直しで。
 
――そういう環境の中、どんな音楽を聴かれてきたのでしょうか?
 
中学時代からスピッツが好きだったので、一番聴いてました。そこからはっぴいえんどまで遡っていく感じで邦楽ロックを漁りましたね。コーネリアスとかもどっかんどっかん来てた時代で、渋谷系とかも聴き出し…。それで、彼らが影響を受けたと思われるような、ビートルズやビーチボーイズもじっくり聴くようになりました。
 
 
――そういった音楽が田中さん自身の作曲に影響していますか?
 
うん、影響受けてると思います。
小学校の時に2,3年イギリスに住んでいたことがあって、その時ちょうどoasisとBlurがバチバチやってるブリットポップの時代だったんです。僕はBlur派で。
そういうのもバックグラウンドになっていると思いますね。
 
 

「死ぬほどポップ」分析!どうして“ポップ”なの?

 
 
――なるほど。UKの影響もあるんですね!月のうなぎの『死ぬほどポップ』というアルバムは、曲も歌詞もジャケット写真も様々な要素において、ポップに特化しているのかなぁと思ったのですが…。
 
そうですね。ロックを目指してバンドをやっていた自分からしたら、ポップミュージックって少し恥ずかしい面があるんです。でも、自分からポップと言ってしまうことで、恥ずかしげもなく、ポップをやろう!という気になれる。
 
――ロックバンドでは、ポップ要素は排除していたんですか?
 
うーん、結局ロックバンドも音楽そのものはポップだとは思うんですけどね。
形態としてロックはちょっとかっこつけなきゃいけないじゃないですか。ポップはそんなに恰好つけなくてもいいし、脈略が無くてもいい。ロックに重視されるようなストーリー性も抜きにして、気張らずに出来るのがいいな、と思っています。
 
――そうですね、私はこのアルバムの曲の歌詞について、全体的にストーリーというよりも一文一文がポエムのような詞だと思いました。 そして、その言葉に合った音楽が当てはまっているので、1節聴いただけで、この音楽いいなと思えるんですよね。脈略が無くてもいい、というのはそういうことだと思います。
 
ありがとうございます!
ケイコの歌詞からインスピレーションを受けることが多いので、そういう風になったんだと思います。
 
――曲作りは歌詞を聴いてからなんですね。
 
詞に影響を受けやすいんです。ギターでコードを弾きながら、その歌詞を歌ってみて、作っていきますね。1から作曲する場合は、イメージ像などの制約が欲しいので、テーマやタイトルなど描きたいことはある程度きちっと固めて、メモ帳にならべた歌詞の断片を口ずさみながら作っていきます。
 
――イメージしているもの、描きたいことがあるからこそ曲が生まれる、と。
 
そうですね。だからインストとか作れません(笑)
 
――ポップでささやき系女子ボーカル、ガーリーな歌詞が特徴的ですが、月のうなぎの世界観とはどういったものなのでしょうか。
 
「死ぬほどポップ」っていうアルバムの曲ほとんどは、ケイコの高校時代に書いた歌詞なんです。だからこそ、ガーリーなポップ感がある。音楽の面でもそういう女の子のかわいい部分を大切にして作りました。たとえて言うならThe Cardigans的なノリですねー。
 
――センチメンタルスペースクルーズは、田中さん作詞なんですね。
 
あれは、音からできてしまった曲だったので、ケイコが歌詞をつけるの難しかったみたいで、僕が書きました。今まで書いたことないような歌詞になりました。
 
――今まではどういう歌詞を書くことが多かったのですか?
 
もっとこう、内省的な、自分の中のグジュグジュしたところ書いていたんですけど、これはシンプルに恋の歌詞。失恋を何かに例える、ポップスによくあるパターンで書いてみました。
 
――私はこの曲を聴いて、人の内省や物語性などはあまり感じなくて、アートブックのような、1ページ1ページに色があるイメージを持ちました。
 
そうですね。他の曲にケイコの内省的な部分が滲み出ている分、この曲はあえて無機質なイメージで書きましたね。ジャマをしないように。
 
――メル変ちっくは、レトロで可愛らしい、ブラスサウンドが目立つ曲ですよね。
 
ちょっと子どもっぽくて恥ずかしいと思ったんですけどね(笑)。
ビートルズが好きなので、どうしてもブラスやストリングスを効果的に使いてえ!という気持ちはあります。
 
なんかビートルってその場で思いついたアイディアをどんどん入れてたんじゃないかなと思っていて。そしてあまり完璧さに拘りすぎてない。自由でライブなレコーディング。だから何度聴いても飽きない。リールテープからハードディスクの時代に変わってリテイクや修正も簡単なんですが、そういうガチャっとしたところをあえて残して旨味を出せたらなと思っています。
 
 
 

皆それぞれ自由な道で音楽ができる時代

 
 
――私のイメージでは、月のうなぎのファン層は、サブカルチャーが好きな10代後半~20代前半の女子かなと思ったのですが、月のうなぎを聴いている人は、どんな層の人なんでしょうか? 
 
結果的にそうなってる気がします。最初からこれと言ってファン層をイメージしていたわけではないんですけど、元々自分の中にポップ=渋谷系みたいなイメージがあるので、やっぱり中高生、大学生あたりで、ちょっとメインストリームは恥ずかしいなと思う女の子達、あるいはそういう文化を好む僕らみたいなおっさん達がターゲットかもしれないですね(笑)。
 
――メインストリーム(商業的な音楽)のポップと月のうなぎの表現するポップは何か違う意味合い、概念なのかなと思います。
 
そうかなと思います。月のうなぎの目指す音楽は、複数形のポップスというよりも単独のポップなので、なんとなく違う気はします。
 
――でも、このバンドをもっと売っていきたいという気持ちはありますか?
 
プロになりたいという意識があるわけではないので、インディーバンドらしく、好きなことを作りたいときにつくって、発表して、聴いてくれる人がいればいいかなぁと思っています。
 
あんまり儲けに執着したくないけど、お金が全く無いのは困る…。その境界線はどこにあるのかなって思う。
 
完全に趣味でおっさんバンドをやるのも手だし、プロになって、色んな我慢をしながらやるっていうのもあるとは思う。
でも、そのどっちでもない道が配信販売などを通してできるようになっていると思うので、今は皆それぞれ自由なスタイルで人生と音楽の両立ができていいなと思います。
 
 
 
 
月のうなぎ

田中シュウタロウ@那覇とケイコ@東京によるウェブバンド“月のうなぎ”
 

Written by TuneCore Japan 学生アンバサダー インタビュー / 文:エンドウ

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