楽曲を配信するうえで、今や欠かせなくなってきたSNSでのプロモーション。
「わかってはいるけれど、SNSの発信が苦手…」「頑張ってもなかなかうまくいかない・踏み出せない…」と感じている方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな“バズの作り方”に悩むアーティストに向けて、TikTokで17万人以上のフォロワーを獲得し、SNSでいくつもバズを作り出している米本奏哉さんにお話を伺いました。
“音ではなく空気で語る”彼の発信スタイルから、「SNSで共感を生むヒント」を探っていきましょう。
米本奏哉(よねもとそうや)
小学生の頃から芸能活動を始め、主に舞台へ多数出演。
高校では仲間とともにユニット「Minimum Skies」を結成し、ギター・編集・企画・撮影を担当。
3月22日に行われた新宿赤布でのラストライブは、チケットが販売開始からわずか1週間で完売する大盛況となった。
現在はソロで音楽活動を進めながら、将来的には新たなバンドを結成し、さらなる挑戦を目指している。
@miniska_music
米本奏哉さんの使い方から学べる3Tips
1. SNS投稿を“検証”として使う
「TikTokを研究目線でちゃんと見るのが大事だと思います。同じ弾き語りやユニットをめちゃくちゃ研究して、そこからヒントを得てました。変に遠慮せず、良いところは取り入れる。まず出して反応を見る。反応されなくても、“なぜ反応されないのか”を考える。そこから次を作る」
最初にアップした『罪と罰』のカバー動画は、なんとたった1日で1.2万いいねを獲得したそうです。
@miniska_music Minimum Skies (ミニマムスカイズ) これから沢山カバー等上げていきます! よろしくお願いします! #バンド#椎名林檎#罪と罰#軽音部 #高校生#高校2年生#06#おすすめにのりたい
♬ Crime And Punishment - Sheena Ringo
その後、伸び悩む時期が半年ぐらい続いて。フォロワーは100〜500人くらい。でも、曜日を決めて週1で投稿を続けていました。"伸びないね・最初のやつ(罪と罰)すごかったよね" と話していたそう。
半年もの間伸びずにいたら、諦めてしまいそうなもの。しかし彼は「どうすればまた伸びるか?」を考え、「投稿する」「反応を見る」「仮説を立てる」を繰り返しました。遊び感覚のままTikTokを“研究”し始めたのです。
2. 音楽に文脈を与える
「人にフォーカスして見せるより、風景で見せていくようにしました。少し引きの画でスマホを置いて撮影して、歌や演奏だけでなく、全体的な空間を伝える。気取らなさや、懐かしさ、“青春の空気”のようなものを感じてもらえたのかなと思います」
4月に始めて半年後の10月、映像やライブのパフォーマンスに“音楽が随伴している”と気づき始めた米本さんは、学校の裏の公園で優河さんの『灯火』のカバーを撮影。次なるバズを生み出したと言います。
@miniska_music 灯火/ 優河 高校生活残り半分なんだってさ #灯火#優河#弾き語り #高校生 #fyp
♬ オリジナル楽曲 - Minimum Skies - Minimum Skies
3. 継続しやすく、自分のスタイルに合う”制作方法”を作る
「気合いを入れたものほど伸びなくて、少しラフな動画のほうが意外と当たったりしました。作り込み自体が悪いんじゃなくて、作り込みと、僕たちに求められているものが違ったんだと思います」
「高校生、同じ年齢層に受けていると思っていたけど、30代や40代の方も多かった。多分、“青春”を懐かしむような、存在しないワンシーンを見るように感じてもらえていたんだと思います。」
TikTokでは“リアル”そのものではなく、“リアルに見える空気感”が求められている──米本さんはそう感じていると言います。
一番大切なのは、自分の居場所を決めつけないこと。自分自身を語るよりも、他者の魅力を見つけることに楽しさを感じるという米本さん。SNSでの発信に悩むアーティストに対し、まず強調するのは「自分の立ち位置を限定しすぎないこと」だと言います。
SNSには多様な選択肢があるにもかかわらず、「ここで成功しなければならない」と一つのプラットフォームに固執してしまうケースは珍しくありません。本当に必要なのは、やりたくない方向性だけ明確にしておく程度で、居場所を狭める必要はないと米本さんは話してくれました。
また、アーティストの表現とSNSユーザーが求めるものが自然に重なるまでには、どうしても時間がかかるもの。だからこそ、試行錯誤を重ねることが成果に直結すると米本さんは言います。トライアンドエラーの積み重ねこそが、最終的に大きな手応えへとつながっていくのです。

今日ご紹介した米本さんの実際の経験からも、SNSでの発信に正解はなく、SNS発信を通して得られるトライアンドエラーの方が重要であることがわかります。
最初から完璧なアーティストは一人もいません。高いクオリティを目指すことはとても素晴らしいことですが、「完璧じゃない気がする…」と動画や作品がお蔵入りしてしまうのは勿体ないですよね。
まだ未完成でも、あなたらしい“空気”を一歩ずつ形にしていくことが、ファンとの出会いにつながります。むしろ、未完成なあなたこそがリスナーからの共感を得て、バズりやすいかもしれません。
今日から、あなたも自分の音楽や世界観を“空気ごと”届ける投稿を試してみませんか?
もし、1人で行き詰まったら...
TuneCore Japanでは、これから活動を広げていく 24歳以下のアーティスト向けにコミュニティ型ワークショップ を開催しています。
同世代のアーティストだけが参加できる特別な場所で、ネット上での活動について意見を交換してみるのも、自己プロモーションの第一歩になるかもしれません。





