はじめに
国内最大級のインディペンデント音楽配信サービス TuneCore Japan。 これまでに累計 約711億円(2025年時点)をアーティストへ還元し、リリースされた楽曲は 100万曲以上 にのぼります。本シリーズでは、TuneCore Japanが保有する膨大なデータから、HipHopシーンの”リアル” を読み解きます。
前回のガイドでは、サブミットと再生数の関係についてデータをもとに解説しました。まだチェックしていない方は、ぜひ第1弾の「サブミット編」もあわせてご覧ください。
▼サブミット編
今回は視点を変え、コラボレーションが再生数にどのような影響を与えているのかを掘り下げていきます。
コラボレーションとは?
HipHopの歴史を語る上でも欠かすことのできないコラボレーション。Dr. DreとSnoop Dogg、Jay-ZとKanye Westなどのラッパー同士のコラボレーションや、Metro BoominとFuture、NasとDJ Premierなどのラッパーとプロデューサーとのコラボレーション。そしてA$AP ROCKYの楽曲にDrake、2 Chainz、Kendrick Lamarがフィーチャリングで参加した「F**kin' Problems」や、Drake、Kanye West、Lil Wayne、Eminemによる「Forever」といったマイクリレーなどがあります。
- Dr. Dre - Still D.R.E. ft. Snoop Dogg
- Metro Boomin & Future - Superhero (Heroes & Villains)
- Drake, Kanye West, Lil Wayne, Eminem - Forever
HipHopでは身近に感じるコラボレーションは現代のストリーミング時代において、プロモーションと再生数の増加という形で、重要な意味を持っています。また、1曲の中で携わっているアーティストの数によっても再生数やプレイリストに入る確率が変動します。再生数の増加やプレイリスト入りを狙っていくためにも積極的に他のアーティストとのコラボレーションを推奨します。
参加アーティストが増えると再生数が増加!
まず、HipHopのジャンルにおいて1曲の楽曲に参加をしているアーティスト数が増えれば増えるほど再生数が増加します。
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※2023年8月〜2024年7月までの1年間にTuneCore Japanからリリースされたヒップホップジャンルの楽曲が集計対象
グラフから分かる通り3名、4名と参加アーティストが増えるにつれて再生数は増加し、特にリリースから1〜3ヶ月目までで顕著な差が出ています。このデータから参加アーティストが増えることで、それぞれのファンベースにリーチされ、初動の勢いが生まれていることを示唆しています。また、SNSでの話題性、そして参加アーティストがそれぞれのライブで披露することでの露出回数の増加など様々な広がり方によって楽曲の認知度が高くなっていきます。コラボレーションは楽曲の再生数を伸ばす上で、重要なプロモーションの戦略と言えます。
参加アーティストの人数とプレイリストの関係性は!?
更に、楽曲の参加アーティストが増えることによって配信ストアの公式プレイリストに掲載される可能性が高くなります。
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※2023年8月〜2024年7月までの1年間にTuneCore Japanからリリースされた配信ストアの公式プレイリストに掲載されたヒップホップジャンルの楽曲集計対象
参加アーティストが1名の楽曲と比較すると2名、3名と増えるにつれ配信ストアのプレイリスト掲載率が大きく上昇します。プレイリストに入ることのメリットについてはこちらの記事をご覧ください。
複数のアーティストが参加することで楽曲の広がりや話題性という観点で配信ストア側のキュレーターの目に留まりやすくなり、プレイリストに採用される理由が増えることが分かります。
コラボレーションアーティストの登録方法は?
コラボレーションアーティストの登録方法は2種類あります。登録方法を間違えて「配信ストア上で意図しない表記や登録内容になってしまった!」というケースも多々あるので以下をご確認ください。
パターン1:メインアーティストとして登録する
楽曲やアルバムのクレジットにおいて、全員を「共同名義」として扱う場合の方法です。配信ストアで「アーティストA」のページにも「アーティストB」のページにも、この楽曲をメインとして表示させたい時はメインアーティストとして登録しましょう。
<登録方法>

楽曲情報編集画面でメインアーティストの項目に、関わる全てのアーティスト名をメインアーティストとして追加します。この方法で登録すると、配信ストアではアーティスト名が「アーティストA & アーティストB」や「アーティストA , アーティストB」といった表記になります。
▼例
・Future, Metro Boomin, Kendrick Lamar - Like That
<⚠️注意事項>
・メインアーティストは、アルバム全体またはトラック単位で設定できます。複数のメインアーティストを設定する場合は、全てのアーティストがこの楽曲の主体であると認識されます。
・表記方法(「&」や「,」など)は配信ストアの仕様によって異なります。
パターン2:フィーチャリングアーティストとして登録する
フィーチャリングアーティストは原則「楽曲名」の後ろに”(feat. アーティスト名)”という形で追記されます。
<登録方法>

楽曲情報編集画面の「フィーチャリングアーティスト」の項目に、ゲスト参加したアーティスト名を追加します。実際の配信ストア上での表記は以下のようになります。
フィーチャリングアーティスト数 | タイトル追記の表示例 |
|---|---|
1組がフィーチャリングに参加 | Story (feat. Taro Yamada) |
2組がフィーチャリングに参加 | Story (feat. Taro Yamada & Jiro Yamada) |
3組がフィーチャリングに参加 | Story (feat. Taro Yamada, Jiro Yamada & Saburo Yamada) |
▼例
<⚠️注意事項>
・配信ストアによって、フィーチャリングアーティストは楽曲がアーティストページに表示されないためあらかじめご留意ください。
意図した再生数増加やプロモーション効果を最大化するためにも、この2つのパターンを理解し、楽曲におけるアーティスト間の関係性やイメージに応じて正確に登録しましょう。
「利用可能なメインアーティスト」について
ここではUnlimitedプランをご利用の方が混乱しがちな「利用可能なメインアーティスト」の仕組みについてポイントのみを解説していきます。詳細は以下のヘルプページをご確認ください。
Unlimitedプランにおいてカウントされるのは、[リリース情報]に設定されているメインアーティストです。ここで重要なのが、シングルとアルバムでの扱いの違いです。
シングルリリースの場合
「楽曲情報のメインアーティスト」=「リリース情報のメインアーティスト」となります。設定したメインアーティスト人数分が、そのままカウントされます。
アルバムリリースの場合
カウント対象は「リリース情報のメインアーティスト」のみです。各楽曲ごとに設定したメインアーティスト人数は合計されません。
メインアーティストA | メインアーティストB | 必要なアーティスト枠 | |
|---|---|---|---|
シングルリリース | 登録 | 登録 | 2枠(アーティストA&B) |
アルバムリリース | アルバム単位で登録 | アルバム単位で登録 | 2枠(アーティストA&B) |
アルバムリリース | アルバム単位で登録 | 楽曲単位のみの登録 | 1枠(アーティストAのみ) |
Unlimitedプラン別メインアーティスト数の上限について
そして利用可能なメインアーティスト数はプランによって上限が設けられています。 スタータープラン・スタンダードプランをご利用の方で2名以上のメインアーティストで楽曲を登録したい場合は、プロプランへのアップグレードが必要となります。
プロプランおよびエンタープライズプランをご利用の方は上限数が2名となっており、3名以上のメインアーティストを使用したい場合は1名あたり¥2,750(税込)/年の追加料金が必要となります。
プランごとの違いは? | スタータープラン (個人)スタンダードプラン (個人) | プロプラン (個人)エンタープライズプラン (法人) |
|---|---|---|
プランに含まれる利用可能なメインアーティスト数 | 1名 | 2名 |
利用可能なメインアーティストの追加 | できません(上限1名まで) | できます利用可能なメインアーティストの追加料金:1名あたり¥2,750(税込)/年 |
コラボレーションは、再生数やプレイリスト掲載のチャンスを大きく広げてくれます。楽曲の広がりを最大化するためにも、登録方法の見直しや、プランのアップグレード・メインアーティスト追加をうまく活用してみましょう!
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