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チューンコアの自動マスタリングサービスはどうなのか、現役マスタリングエンジニアが実際に使ってみた。
こんな人におすすめ
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チューンコアから自動マスタリングサービスが登場したのをご存知でしょうか?

様々な企業からAIによるマスタリングサービスが登場してきている昨今、チューンコアのマスタリングサービスは一体どんなクオリティなのか。

今回は以前、「マスタリングって何なのか聞いてきた。」という記事でマスタリングについてを詳しく解説いただいたマスタリングエンジニアTakayuki Noami氏を再びお呼びして、現役マスタリングエンジニアの視点で実際に使ってみてのレビューを行っていただきました。

「マスタリングって何だ?」「プロにお願いするお金はない……」という方々は、ぜひこの記事を参考に、チューンコアの自動マスタリングサービスをご利用ください。

そして、マスタリングを終えた楽曲は配信して世界185カ国に届けましょう!

チューンコアは1曲1,551円からのPay Per Releaseプランと、何曲出しても年間4,400円からのUnlimitedプランが選べます。自身の活動スタイルに合ったプランでリリースを。

Takayuki Noami(野網隆行)

東京藝術大学在学中の2013年より音楽プロジェクト「Tia Rungray」として東京近辺を中心に活動を開始。同年、Non-REM Studioの前身「Non-REM Records」を立ち上げる。これまでに、大手CDショップ向け国内流通盤や海外配信向け音源の編集、プロデュースを行ってきた。2023年からはApple Digital Masters 認定マスタリングエンジニア。これまでにnikiie、yorihisa taura、天気輪などのアルバムマスタリングを手掛けている。

Webサイト:https://non-rem.com
SNS:https://x.com/noamitakayuki

種類の違う3曲で実際に使ってみた。

今回の試用では、以下のような種類の違う3つの楽曲をご用意いただきました。

・生ドラムありの歌もの
・ピアノやストリングス主体のインスト
・音を詰め込んだノイジーなシューゲイザー

最もオーソドックスな性能を知るため、まずは生ドラムありの歌ものを確認。続いてどのくらい幅のある対応が可能かを確認するために、生ドラムありの歌ものと対極にいるようなピアノ・ストリングス主体のインストに挑戦。

3つめの音を詰め込んだノイジーなシューゲイザーに関しては、Noami氏曰く「ミックスの段階でそこまで上手くいってない、ある意味リスクを持った音源」とのこと。自動マスタリングサービスのアルゴリズムの柔軟さの限界を確認する意図です。

自動マスタリングサービスの選択肢は3つ。

チューンコアの自動マスタリングサービスは、音源をアップロードすると以下の3つの出力結果から1つを選ぶことになります。

・DRY
アップロードされた楽曲のバランスを極力変えず、質感はそのままに迫力を出すようなマスタリングを行います。

・WET
ミックスに対して積極的なアプローチを行うマスタリングです。

・BALANCED
上記2つのあいだを取るような、基本設定です。

今回は3つの楽曲に対して、それぞれ3つの選択肢すべてのマスタリングを実施した、合計9楽曲を検証しました。

聴いた感じ、悪くない。

生ドラムありの歌もの

まずはオーソドックスな指標となる生ドラムありの歌もの音源を確認してもらいました。「率直にどうでした?」と伺うと、以下のような返答を頂きました。

「聴いた感じ、全然悪くないですね。DRYとBALANCEDの2つに関しては『この質感が好き』という人はいるんじゃないかなと思います。歌詞をしっかり聴かせたいなら、DRYとBALANCEDはよくできていると思います。

WETだけは注意が必要で、コンプレッサーのリリース設定が遅めなのか、低域が強調されてボワボワしすぎる傾向があるので、ジャンルによっては合わないかも。低域をモリッと強調したい人なら良しとする音像かもしれませんが。」

Noami氏の視点でも、「選択肢にはあるよね」と思う範囲内のマスタリングが為されているとのことです。DRY / WET / BALANCEDの違いについても尋ねてみます。

「これは楽曲に関わらずですが、DRYからBALANCEDになると、低域と中高域が少し強調されますね。そしてBALANCEDからWETになると、そこにさらに低域と、高域も足されてドンシャリになっていくような傾向です。どんどん派手になっていくような印象ですね。音圧レベルは選んだモードによる違いはほとんどありませんでした。WETだから音圧が大きいということはあまりないようです。3つのモードは、マスタリングに何を求めるかによって選んで良いと思います!」

ピアノやストリングス主体のインスト

続いて、1音1音を繊細に扱わなければならないピアノやストリングス主体のインスト楽曲を確認していきます。

「正直、こういった静かな楽曲とWETの相性は悪いですね。コンプレッサーで潰されている感じが前面に出てしまっていて。

BALANCEDでもピアノだけが鳴るような極めて繊細な箇所はまだコンプ感が見えます。ただストリングス等が増えて盛り上がっている箇所は悪くない。極端に繊細な楽曲でなければ、全然 "アリ" って思いますね。

DRYは正直狙いたい方向性とは違ったのですが、これはこれで問題ないと思いました。ストリングスやフルートが少し前に出てくるような印象があって、もしかしたらボーカルが前に出るような帯域をインストでもちょっと強調しているのかもしれません。」

繊細な楽曲のマスタリングは、わずかな変化で大きく違いが出てしまうと言います。そういった「人間が実際に耳で聴きながらひとつずつ処理していく」といった丁寧な作業を必要とする作品の場合、自動マスタリングでは選択肢が少ないのも事実です。

自動である以上、制作者の意図に完璧に寄り添ってもらうようなマスタリングが難しい一方で、「そういう方向性もあるのか」と思えるような新しい可能性を生み出してくれるものでもあるようです。

音を詰め込んだノイジーなシューゲイザー

今回用意いただいた楽曲は、本来であればミックスの段階で処理しなければならないような "音の被り" があったりと、柔軟な判断と対応が必要なものでした。自動マスタリングはどこまで対応できるのでしょうか。

「結論から言えば、そこまでの柔軟な対応はまだ難しいみたいですね。人間のエンジニアだった場合、『音と音が干渉して、ある一点の周波数が飛び出ているな』と感じられる箇所を見つけたら、その部分をカットしていくような配慮も多々やります。最適なのはそのことを依頼元にフィードバックして、ミックスの段階からやり直してもらうことですけどね。

自動マスタリングの弱点はそこかもしれません。『これはミックスの段階で処理しなきゃいけないこと』といった判断ができず、ありのままを受け入れてマスタリングをしてしまうんですね。」

今回は敢えて少しイジワルな検証を行いました。結果、そもそも意図せず飛び出てしまっている周波数に対しての配慮は難しく、WETとBALANCEDに関しては強調して欲しくない(もしくは適切な処理をしてから強調して欲しい)箇所が他の音源と同じようにそのまま強調されてしまったとのことです。

「一方で、DRYはリリースしても問題ないなってクオリティになっていました。問題は解決していないけど、そこをさらに強調して悪化するようなことにはなっていないので、ミックスに自信が持てない場合はDRYを選ぶのがベターかもしれません。」

コミュニケーションで成立することにはまだ課題アリ。

ここで敢えて「自動マスタリングサービスの悪かった点は?」と尋ねると、丁寧な意見が返ってきました。

「正直に言うと、3つあります。ひとつは ”柔軟性”。先ほども出た『マスタリングで対処できる問題点とミックスで処理すべき問題点の区別が付かない』という話もそうですが、マスタリングをするときには音源の抱える様々な問題と向き合うことになります。それらひとつひとつの原因を紐解いて、どういった処理をすべきか判断する、場合によってはミックスに立ち戻る、といったような柔軟性はまだまだ人間ならではの処理なのでしょう。

そしてもうひとつが、 ”コミュニケーションが取れない” という点。ひとつめの問題点にもつながる話ですが、人間のエンジニアが処理を行う場合は『これはミックスでの問題点だから、ミックスエンジニアに直してもらってきて』といったフィードバックが可能です。やや高度な現場の話ですが、事前にミックスエンジニアが『マスタリングでボーカルが持ち上がることを想定してボーカルは小さめにつくってるよ』とコミュニケーションを取ってきて、それを考慮してマスタリングを行うようなことも多々あります。ミックス側とマスタリング側とのコミュニケーションが取れないのは、場合によってはウィークポイントになるかもしれないですね。

そして最後のひとつは音像の話なので音の趣向にも寄るのですが、やや空間の広がりは薄いかもしれないと思いました。あくまでも今回試した楽曲に限った結果ですが、私だったらもう少しステレオ感を広げる処理をするなぁと思った部分がありました。ミックス通りと言えばミックス通りなのですが、MS処理と呼ばれる、楽曲の中心と左右の広がりの差を付ける処理はやや甘めだと感じました。」

自動マスタリングサービスはあくまでもAIによる処理です。人間がコミュニケーションによって成立させていることへの対応にはまだ難点があり、ここはプロに任せることに価値がある点なのでしょう。

リリースの足かせになっているなら使うのが吉

この後にも数値的な話や、実際に配信に流した時どのような挙動になりそうか等、実務に寄った話をたくさん伺え、私たちチューンコアとしても多くのフィードバックを頂くことができました。今回のお話やユーザーの皆様からの反応も交えて、チューンコアの自動マスタリングサービスは今後もどんどんクオリティの高いものへとアップデートされていくことでしょう。

プロの現場で人間が行うマスタリングにはまだまだ追いつけない部分もある一方、マスタリングのハードルを高く感じてリリースを思いとどまってしまっている初心者には最適な選択肢がチューンコアのマスタリングサービスです。音楽活動は、人に楽曲を聴いてもらって、その反応を受けて次にどんなアプローチをするか、何を勉強するか、どこに予算をかけるべきかを考えていく活動でもあります。

レコーディングやミックス、MVの制作やレコ発ライブと、初期投資をすべき箇所は様々あるので、1曲660円から一定以上のクオリティのマスタリングを行えるサービスがチューンコアから登場したことの意味は大きいでしょう。もちろん、初心者だからこそ最初からプロのマスタリングにお金を払って依頼をし、フィードバックをもらいながら基礎的なことを理解していくことも選択肢のひとつです。重要なことは、駆け出しアーティストにそんな “選択肢” が増えたということ。

「まずは自動マスタリングサービスを使ってみるのはアリだと思います。その上で『BALANCEDの低域感は保ちつつDRYの中高域の感じになるような中間が欲しいな』といった細かい改善点が出てくるようになったらプロのエンジニアにお願いするのが良いでしょう。その際に自動マスタリングサービスでマスタリングした音源をリファレンスとして持ってきていただいて『このバランス感のままもうちょっとだけ派手にしたい』みたいな依頼のしかたをしていただくと、すごくスムーズなやり取りになる予感もします。それがもしかしたら最強にこのサービスを使いこなした人の使い方かもしれないですね。」

あなたの活動をどんな方針で進めていくかを考えた上で、最適な活動スタイルを築いてもらえることをTuneCore Japanスタッフ一同、願っています。

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