guattari
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アーティスト情報

ガタリ人間の熱はどこから来るか。 2007年、夏。 友人に唆され、一人の少年が音楽に触れる。 様々な音楽が無造作に焼かれたCD。マキシマム ザ ホルモンに始まり、Slipknot、System Of A Downに触れる。 鬱屈とした中学生活を送っていた少年は、怒りやリビドーを爆発させて叫ぶことの、狂おしいような感情を知る。 電撃の走るような感覚に、少年は頭を振り続けた。 やがてレンタルショップに通うようになり、その熱は弟の耳にも届いていった。 2009年、夏。 とあるフェスの舞台袖に少年はいた。 ボランティアスタッフとして関わったその場所で、少年は目の前ではち切れそうなロックンロールを爆音で奏でるマンドゥ・ディアオを目撃する。 踊る群衆と、音楽の渦。 少年はそのとき悟った。音楽とは、奏でる者と、それを聴いて踊らされる群衆によって作られるものではない。互いが築き上げるものだと。 少年はCDをくれた友人と共に、音楽の世界へと入り込んでいく。メロコア、ロックンロールリバイバル、ロンドンパンク、ハードコア。 借りてきた映画『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』に心を打たれ、音楽を一生やっていこうと心に誓う。 2010年、夏。 大学生になった少年の家に、音楽を教えてくれた友人がベーシストを連れてやってくる。 所属する軽音サークルで一緒にバンドをやっているらしい。 クールな印象のベーシストは「ブリーフ」と呼ばれていた。 三人で音楽の話をした。 少年は初対面のベーシストに舐められないよう、少しだけ気取った大人のフリをした。心はまだ少年だったから。 2015年、夏。 少年は海にいた。 大学を辞め、吉祥寺のスタジオで働いていたが、仕事がうまくいかず、金もなく、音楽も拙い。 大学時代に歌を褒められた栄光は、もはや幻想だった。 うだつの上がらない日々。うつ病の診断書。 ある日の先輩のライブを観た帰り道、東京駅。 ふと目の前に来た電車は沼津行きだった。 気がつけば、短くて長い旅の車窓を眺めていた。LOSTAGEを聴きながら。 どこへでもいいから、どこかへ行きたかった。 朝まで時間を潰し、少年は海に辿り着く。 朝焼けが水平線をなぞる頃、少年はやはり音楽に縋りついた。少年にはそれしかなかった。 気がつくと、あの友人に連絡をしていた。ともに音楽を知り、高め合ったあの友人へ。もう一度一緒にバンドをやろうと。そこには、あのベーシスト、ブリーフもいた。 2020年、夏。 少年はもう、少年ではなくなっていた。 彼は夜の街にいた。 人間の欲望に塗れ、また、溺れていた。 コロナ禍の真っ只中、バンドは停滞した。 彼は、自分の音楽がどこにも届かないことを知っていた。 売れなかった。認められなかった。自分の理想は叶わなかった。 いつかLOSTAGEと対バンしようと誓った夜も、遠い昔のことのように思えた。 彼はバンドを抜け、夜の街に逃げた。 メンバーのガッカリした顔を想像し、二度と戻れないと思った。二度とバンドには関わらないつもりだった。 その場所に沈み続けていた。 才能のない自分を見ないために、甘ったるい香水の中で酔うしかなかった。 2022年、元旦。 彼は30歳を迎えようとしていた。 バンドから離れてしばらく経っても、彼はやはり音楽を、ギターを捨てられなかった。 一人でいる間も、気がつけば曲を作ってしまう。そして、それを体現したくなってしまう。 今まで縋りついていたと思っていたが、今度は音楽に引き寄せられていたようだった。 彼はまず、ドラムをやっている弟に連絡を取った。 兄弟はこれまで、音楽性の違いを理由に同じバンドをやってこなかった。 弟は技術を求めて音楽学校に入り、旧友とバンドを組んでいた。 趣向は違えど、その腕の良さを彼は知っていた。 次にベーシストにも連絡を取った。かつて苦楽をともにしたバンドはすでに解散していた。 彼は話を聞き、後悔した。ベーシストも同じだった。 「もうバンドはいいよ」と憂いた目で言われた。それでも彼は誘った。 作り溜めた曲を聴かせ、やっとベーシストは首を縦に振った。 それから1年後、弟の旧友も加入し、4人編成となった。 2026年、2月。 彼はLOSTAGEとのツーマンライブを果たした。 どうにも出来ない理由でギタリストはその一ヶ月前に脱退し、バンドはスリーピースとなった。 高校時代から彼に音楽を教え、長く苦楽を共にした友人は、二度と会えない場所へ行ってしまった。 それらを乗り越え、彼は約束を果たした。 いいライブだったかはわからない。 それでも全力を尽くした。それだけで十分だった。 夜の街の香水の匂いも、鬱屈とした日々も、もはや過去のものになっていた。 ステージに横たわる。いつもの、馴染んだライブハウス。 その日だけは、いつもより暖かく感じた。 音楽は、人間の血の深くに流れている魂の名前なのかもしれない。 脈打つ物語が音楽を紡いでいくのならば、どこまでも行けるはずだと彼は思った。 うねるリズムと轟音に包まれながら。 人間の熱はどこから来るか。 彼はまだ探し続けている。 この物語には続きがある。 その名を、ガタリと言う。
ジャンル:オルタナティブ, ロック活動エリア: 東京都出身地: 新宿区 東京都結成年: 2022年
メンバー
郡嶋太志役割: ギター, ボーカル, 作詞者, 作曲者
郡嶋高也役割: ドラム, 作曲者
長谷川凛役割: ベースギター