KID NATHAN インタビュー | 変幻自在時代屋「最終的には、海外で活動できるようなアーティストを目指す」

2016.5.13

今回のインタビューは、池袋BEDなど都内アンダーグラウンドで活動しているKID NATHAN。今回はアーティストとしての活動背景や今後の展望について、ラジオ「TokyoTechStreet」内で、同番組コメンテーター海保氏を交え話を伺いました。

 

歌えて当たり前だと思って曲も作る

——まずはYouTubeで楽曲を聴いて欲しいと思いますが、KID NATHANさんはラッパーでも「歌う」ということに特徴があると感じていまして、どういった経緯から歌モノに挑戦しようと至ったのでしょうか?

KID NATHAN(以下、KID):まず、基本的に「ラッパーだから」っていう考えはないです。ラッパーだから「歌えない」とかいう概念は海外にはないですよね。歌えて当たり前だと思って、曲も作っています。トラックも最初は自分で作って、とりあえず自分らでやってみようよって思って。人に頼むのは簡単だなと。

海保けんたろー(以下、海保):当然の空気感の中で、そういうのが始まったという感じですかね?

KID:歌モノいければアーティストとして幅も見せられると思ったし、幅が見せられればヒップホップって客演が多いジャンルなんで、フック(=サビ)だけとか客演の仕事が増えるかなっていうのも思ったり。

海保:スキルが多ければ、単純にニーズも増えますよね。

——その辺りはビジネス的な考え方があるんですね。

KID:自分がやりたい曲と、言い方悪いけどビジネスとしての曲を作るとしても、もちろんこっちの土俵じゃなくてメインストリームの土俵で聴いても、遜色のないようなメロディーをいつも考えながら作ってます。別にJ-POPっぽい曲じゃなくてもクラブDJがかけれるような曲を作っていけば、どんどん広がっていくんじゃないかなって。

海保:今回「ラッパーの方です」ということで伺っていて、曲「FUYL」を聞いたのですが、もうサビのところ以外でも歌ですよね。

KID:そうですね。この曲、実はEPの順番的にも最後なんですよ。最後にしっとり締めたいなっていうのがあって。ルルルってメロディーも誰が聴いてもすぐ覚えるし。歌詞とかあんま意味なくて、メロディーの気持ち良さ。なんだこの曲って思える曲にしたいなっていうのがありました。

 

ルーツは海外生活での影響

——ヒップホップに触れたきっかけは?

KID:高校卒業してすぐニュージーランドに留学して、その時にどっちかっていうと勉強ができるほうではなかったんです。英語もできないし、とりあえず友達作りのきっかけとしてですかね。当時、向こうのテレビとかクラブへ遊びに行った時にヒップホップしか流れていなくて。俺らの時代はまだトランスとかもけっこう流行っていた時代だったんだけど、どちらかといえばヒップホップが多かった。そこからヒップホップを聴き始めて、だから日本語ラップとか全然聴いてなくて。最初はUSからでしたね。

——そういう所も、今のスタイルに影響しているんですかね?

KID:だいぶ大きいと思いますね。

——トラックもUS志向ですもんね。

KID:そうですね。だからラップ自体、リリックから入ってないんですよ。その曲としてメロディーから入ってるから、何言ってるかわかんないけどかっこいいなっていう感覚で入っちゃっていて。リリックの大事さは後々すごい思い知ったけど。今、自分の曲の中でも結構歌える曲、歌モノとかが多いのはそういうところにもある。海外のラッパーって歌えて当たり前のラッパーが多いから、自分も歌えないとダメなんだなっていう風に思っていたのはあります。別にラップだけじゃなくて、幅を見せたいなっていう。

——日本語ラップはどのアーティストから入ったのでしょう?

KID:留学から帰ってきてとりあえず日本語ラップ聴いてみようと思って、キングギドラとかジブさんとかかな。もちろん中学の時も流行っていたからちょこちょこは聴いていたんですけど、本当のアングラ日本語ラップは聴いてなくて。で、まぁ聴いたんだけどあんまり響かなくて。「これ、ヒップホップなんだ」って思っちゃって。ビートも80’sとか90’sっぽい感じのが多くて。まぁ確かにかっこいいけど俺の中ではあんまりしっくり来なかったんですよね。ただ、その中でもヤバイなって思っていたのがKOJOEさん。KOJOEさんを初めて聴いて、日本語でこういうラップの仕方あるんだっていう。当時、結構バイリンガル(ラップ)とか流行っていたんですけど、曲作りの方向を変えて日本語を多く入れるようにしていきましたね。

——今、いちばん好きなアーティストは誰ですか?

KID:好きなアーティストっていうのは特にいないけど、ヤバイなって思うアーティストは結構いますね。例えばヒップホップ自体定義が広くて、でもいろんなジャンルがあるじゃないですか。もちろん歌モノだったり、スピット系だったり、80’sも90’sもそうだし、メインストリームもそうじゃん?その個々のジャンルでヤバイなって思う人はいます。でもいちばん好きなのは決められないな。基本的に若い子だったら2 Millyとか。2 Millyはシカゴなんだけど、シカゴ周辺が結構好きですね。チーフキーフとかあの辺は聴いてました。あとはニューヨーク。ジョーイバダスとか、ブルックリンのラッパーは良い。

——EPの全トラックを提供をしているSURPASSさんは、元々お友達だったんですか?

KID:SURPASSは俺のバックDJでもあるホールデンの知り合いで、去年ミックステープ出す直前の8月辺りに出会いました。「トラック作っててヤバイやついるんですよ」って話になって、じゃあちょっと聞かしてよって。そしたら、クソやばかった。

——めっちゃかっこいいですよね。

KID:乗せてみたら相性もすごく良くて。初めて曲頂戴よって貰ったのが”Alorof Lone”って曲なんだけど、トラックにボーカルREC含む作業を二日でやったんですね。そこで、自分の中で「この曲ヤバイな」って思える曲ができちゃったから、「EP全曲お願い。頼むわ」って。あの曲がなかったら、多分SURPASSのトラックを全曲に使っていなかったかな。

——SURPASSさんは、元々からEPに収録されているようなトラックを作られていたのでしょうか?KID NATHANさんとSURPASSさんのトラック、すごく相性が良いと感じるので。

KID:いや、元々はどちらかと言うとCoke Boysとかあっち系のトラックでしたね。それこそ、Meek Millとかサンプリングとか声ネタとかも得意だから、そっちの土俵でやっていました。

 

変幻自在時代屋とは

——ストリーミング配信に至ったきっかけは?

KID:調べてて見つけた感じですね。とりあえず、レーベル経由とかが面倒くさかったのもあるし、結構尖ってたから出したらなんとかなんだろ、みたいな。「聴いとけよ」みたいな。EPの制作期間が本当に1〜2ヶ月の間に全部作っちゃったので。

——確かに、制作スピードがとても早いですよね。次のレコーディングにも入っているのでしょうか?

KID:そうですね、もうアルバムの曲10曲くらいできていて、もう本当に毎日RECしてます。まぁREC自体、全部自分の家でやってるんですが。その後声だけサウンドエンジニアに投げて、みたいなね。

——単純に僕が気になったんですが、変幻自在時代屋とは何でしょう?自主レーベル? 

KID:いや、まったくただの”言葉”です。普通に仲いいやつとかと遊んでいて、フリースタイルしてる中で生まれた言葉なんだけど、字に起こしてみ流とめちゃめちゃかっこよかったから「シャウトに使えそうだね」みたいな。

——なるほど、レーベルではないんですね。個人でやられているとのことで、今後メジャーやその他のレーベルから声がかかった場合はどうされますか?

KID:実は今までに何社かあったんですが、自分の中であんまり話を頂いたところがしっくりこなかったっんですよね。それはインディーなんですけど、メジャーとは契約したいなっていうのはあります。僕ができるならって。
自分のキャラというか、見せ方とか曲の方向性の中で、いきなりメジャーと契約したら結構かっこいいんじゃないかなって思ってて。インディーを飛ばしてね。

——確かに。

KID:段飛ばし段飛ばしでって契約したほうがヒップホップドリームっぽいじゃん?映画とか作りたいじゃん?(笑)

——ヒップホップドリームですね(笑)。今後はどんなアーティストを目指したいですか?

KID:最終的には、海外で活動できるようなアーティストっていうのが目指してるところですね。そうなると、やっぱりメジャーから出す方が見てくれる人数が圧倒的に違うだろうと。海外でもやりやすいでしょうし。


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この記事の執筆者

TuneCore Japan Official Ambassador

TuneCore Japan 公認 学生アンバサダー

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