NUXX インタビュー | ジャンルやサウンドの種類ではなく、良いと思える音を多くの人に伝える

2014.8.22


NUXX

大阪を拠点とする男女混合エレクトロ・ユニット、NUXX(ナックス)。打ち込みを基調としたサウンドに、エレクトロやテクノなどの多様な音楽を配合して独自のダンスミュージックを産み出している。結成の経緯から楽曲制作のこだわり、機材に至るまで話をきいた。


——まずはじめに、NUXXを結成するまでの経緯を教えてくださいい。

もともとトラックメーカーだったIze-Macと音響エンジニアーのGun-Hiroshiが、「打ち込みのダンスミュージックを作ろう!」と意気投合して、ボーカルとなるeccoを誘ったのがきっかけですね。バックボーンとなる音楽性も全く違う3人が結成して、5年が経ちます。こんなにも長い期間活動するとは、当初誰も思っていなかったのですが、音楽を生み出し伝えることの面白さにハマり、現在までNUXXを続けています。「普通のバンドじゃなくユニークなスタイルをつくりたい」そんな思いが、カテゴライズされない今のNUXXがあるのだと思います。

——音楽性のまったく異なるみなさんでNUXXを結成されたとの事ですが、今までの活動で印象に残った出来事などはありますか?

NUXXの音楽自体もどんどん変化していますが、ファンの方達も新たな層が加わっています。特に2012年、Fear, and Loathing in Las Vegasのアルバムツアーにゲストサポートとして出演してから、若いロックキッズ達にもNUXXが広まった気がします。NUXXにとってのターニングポイントにもなったので、呼んでくれたFaLiLVには凄く感謝しています。

 
——FaLiLVとの共演が、NUXXの音楽活動において大きな刺激となったわけですね。次に、楽曲についてなのですが、楽曲はどのように作っていらっしゃるのでしょうか?楽曲を作るうえでのこだわりを教えてください。

基本的にDTMでの制作です。Ize-Macがトラック/ソングメイクを、Gun-Hiroshiがミキシングを行っています。もともと根っからのバンドマンでもないですし、トラックメイカーとしてのIze-Mac、エンジニアとしてのGun-Hiroshi、それぞれの強みが出会って自然とこの制作スタイルになりました。

フレンチエレクトロから現在のEDMブームまで、その時代の中心となるサウンドを取り入れながら自由に作っています。ジャンルやサウンドの種類ではなく、良いと思える音を多くの人に伝えること、それがNUXXのこだわりです。なので流行への嫌悪やジャンルへ固執しないように心がけています。

——楽曲制作において、それぞれのメンバーが、もしくはメンバー全員が影響を受けているアーティストなどはいらっしゃいますか?

バックボーンとなる音楽性が、メンバーそれぞれ面白いほど違っているんですよね。そしてその好みとライブでの表現が同じではないのがまた面白いんです。ボーカルのeccoは繊細なエレクトロニカが好きですが、ライブでは真逆のロックなステージングをしますし、パンクっ子だったGun-HiroshiはトランシーなDJを、HiphopのトラックメイクをしていたIze-Macは細やかな曲作りをしますから。ただ、NUXXとして言えば、やはりDaft Punkは外せません。世界中のミュージシャンのリファレンスにもなっていますし、ダンスミュージックの歴史教科書に確実に載る人達だと思っています。

サウンドの対極として参考にしているのは、Justiceです。ブラックミュージックをハウスに乗せて成功したのがDaft Punkなら、クラシックからヘヴィメタルへと続く白人音楽をエレクトロに落とし込んだのがJusticeでしょうか。有名すぎる2アーティストですが、彼らがいれば他はいらないってくらい完璧な2組だと思います。

あとあまり面白味のない表現になってしまいますが、海外や日本、メジャーからアングラまで今まで見知り、聴いてきたアーティスト全てに影響を受けていますよ。例えばこの曲はあのアーティストっぽい!と感じて、その曲の作り手が影響されたアーティストを想像するのも音楽の楽しみ方の一つですよね。NUXXの作品からもそうした影響の残り香を感じ取って貰えたら嬉しいです。

——NUXXが楽曲を作る際は、どのような機材を使用されていますか?

楽曲制作は長年使っているLogicを中心に、AudioUnitプラグインなどを使っています。Native Instuments、特にMassiveなんかはワブルベースといった今のサウンドメイクにおけるスタンダードになってきてますよね。NUXXもハリのあるリードリフなどでよく使います。加えてソフトシンセのド定番Sylenth1や、ドイツのU-heというメーカーのプラグイン、これも種類があるんですけど音が太くて気に入っています。

ライブではAbleton LIVEをメインにLaunchPad・Pioneer RMX等をコントローラーとして使用しています。また、少し前まではギターを弾いたり、ハードシンセをMIDI同期したり手弾きしたり、Moogをシンセベースとしても使っていました。音がもの凄く太くライブ感が出て好きなんですけど、今のサウンドはハードシンセの手弾きじゃ再現しきれない場合もあって。

ハードシンセそれぞれの特色から名曲が生まれた昔とは違って、今はソフトシンセやエフェクトプラグインの発展が新しい音楽を導いてますから。どちらもそれぞれ良し悪しがあると思っています。今のNUXXはミニマルなデジタルシステムでやっているだけで、飽きたら超アナログ回帰なライブにするかもしれませんね。

——そういった機材で生まれる楽曲の世界観は、MVでもシンクロして表現されていますが、映像におけるこだわりは?

自分たちなりの東日本大震災への応援歌でもある「BORN TO WALK」のMVが全ての始まりだと思います。友人の映像クリエイターが仙台ライブ遠征に同行し、カメラ撮りから編集まで行ってくれました。それ以来、NUXXの映像作品は全て彼が担っています。映像の世界観を信頼して任せられる彼との繋がりが、NUXXにとって物凄く強みになっていますね。

——「BORN TO WALK」はモノクロでシャープな雰囲気の中でも、さらにライブの熱量も伝わってきますよね。

今回の「Distancer」のMVでは、楽曲も映像のイメージと並行して作り上げた所があります。ラフ段階のトラックを渡して彼が映像の脚本を膨らませ、その脚本に沿って曲構成を詰めるというような作業の繰り返しでした。曲と映像、両方揃ってこそ「Distancer」を存分に楽しんで貰えるんじゃないかなと思います。

——また、NUXXは両A面シングル「Distancer/Outlook」をデジタルリリースされた経緯というのは?

DIYと言う言葉が広まって久しいですが、NUXXも現在楽曲リリースや活動マネージメントを自主レーベルとして独自に行っています。その中でリリースする側にとって利便性のあるアグリゲーターを探していたのですが、以前より名前を知っていたTuneCore Japanを使って。

——最後に、今後の活動予定を教えてください。

8月25日に大阪北堀江club vijonで『Distancer / Outlook』リリースパーティを開催します。リミックスを提供してくれたKiyoshi Sugo君やNACANOを迎え踊れる音が集まったイベントになっています。ダンスミュージックへのアンテナの高い人には、ぜひとも遊びに来て欲しいですね。そしてNUXX3枚目となるニューアルバムのリリースに向けて現在制作を続けています。もちろん今回リリースした両A面シングル「Distancer/Outlook」もアルバムに入れる予定です。どのような内容になるか自分たちも楽しみで仕方がありません。


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この記事の執筆者

TuneCore Japan Official Ambassador

TuneCore Japan 公認 学生アンバサダー

https://amb.tunecore.co.jp/